歴史学者ではなく小説家である近本洋一氏が著書「嵯峨野あやつり異聞」という小説にて、以下の様な面白い歴史解釈をしています。
京都盆地の西端にある化野念仏寺、そこにある賽の河原。
丁度反対の東端にある銀閣寺、そこにある銀沙灘。
賽の河原と銀砂灘を結んだ同緯度の線状に内裏がある。
応仁の乱で荒れている世の中で、銀閣寺に力を入れたのは足利義政。
銀閣寺の御堂は東求堂という名前。
名の元は六祖禅師の「東方のひと仏を念じて西方に生まれんことを求む、西方のひと仏を念じて何国に生まるるを求めん」という言葉。
義政はこれを新生への祈りと理解し、西の化野念仏寺の”死”
賽の河原から、内裏、銀沙灘という関係を生み出すことで、死と誕生を循環させて都を蘇らせようとした。
位置をGoogle Map を利用して示しました。左○が化野念仏寺で、御所を通って右端が銀閣寺です。ちなみに左大文字、大文字がそれぞれの寺の傍にあります。>

フェアトレードについて
フェアトレードという言葉をご存知でしょうか?
フェアトレードとは「発展途上国の貧しい生産者の自立を支援するために、あらかじめ定めた最低水準以上の価格で、長期に渡って買い上げることを保証する取り組み」です。
発展途上国の生産者は劣悪な労働条件で働かざるをえない事が多いため、家計が安定せず子どもを学校にも通わせられないといったことがよくあります。
ここで想像して頂きたいのですが、仮にあなたがそういった状況にいる生産者であったとして、自分と契約してくれる企業が、実際に働く前に家族で生活を営む上で十分な額の賃金を先に約束してくれたとしたら、とても生活設計が立てやすくなると思いませんか?
フェアトレードとはそのようなものだとイメージしていただくとわかりやすいかと思います。
フェアトレード商品として国内で手に入れやすいのは、コーヒー豆かもしれません。
大手コーヒーショップにもフェアトレード品として販売されていますし。
フェアトレードのコーヒー豆は普通の豆より多少値が張りますが、有機栽培であったり生産方法にもこだわっているものが多くあります。
もちろんフェアトレード商品はコーヒー豆だけではなく、コットンなどなど様々なものがあります。私は以前東京に住んでいたため、たまに自由が丘にあるフェアトレード商品専門店のpeople treeというところに買い物に行きました。このお店はイギリス人の女性が日本で立ち上げたお店で、今ではイギリスに逆上陸したそうです。
最近、京都駅の地下にもこのお店は出店しています。
このような経済的弱者とされる層に、しっかりお金が回るような仕組みを作っていくかは、発展途上国だけの問題ではありません。日本を含む先進国にとっても非常に重要です。
数理エコノミストの逢沢明氏の著書「21世紀の経済学 失敗史の比較分析に学ぶ」(かんき出版)においてもこのことは明快に指摘されており、たった1%の富裕層よりも、99%の庶民が豊かになる方が、経済成長力がはるかに強力になると述べており、そのための政策等のあり方について著書で分析しています。
例えば、たった1%の富者が多くの買い物をするより、他の99%の人々が少しでも豊かになって、住宅ローンを組んで住宅を購入したり、レジャーにでかけたりする方が社会的なインパクトが大きそうだということは、なんとなく想像はつきませんか。
今後の経済成長を考える上では、こういった視点も非常に重要になってくるはずです。
(橋本圭司)
次世代自動車の開発競争について
本日、ホンダが水素を使用する新型燃料電池自動車「ClARITY FUEL CELL」を発表しました。
トヨタの「MIRAI」に続いて国内で販売される水素自動車です。
私が本拠としている京都にも、水素ステーションができたりと、少しずつ次世代の自動車が実現化しつつあります。
ガソリン等で動く自動車から、水素自動車なのか、または電気自動車か、もしくは両種類の自動車が共存するのか。
今後どのような方向に進んでいくのか。自動車業界は、この10年で大きな勢力図の塗替えが起こる可能性が高そうです。
電気自動車は国内外多くの企業が既に販売を開始しており、かつ新進気鋭の起業家イーロン・マスク率いるテスラモーター等電気自動車のみを将来性あるものだとして取り組んでいる企業もあります。
ただ、私個人は電気自動車は主流にはならず、どこかで頭打ちになるのではないかと考えています。
なぜかというと、もちろん日本の企業が牽引する水素自動車に頑張ってもらいたいという希望もありますが、大きな理由は以下のとおりです。
・国内外の車の多くが電気自動車になった場合、現在の発電量では賄えないのではないか。
・現行の充電方式だとフル充電するまで30分以上はかかる。ガソリンを5分で満タンにするのと比較すると利便性が悪い。
電気ステーションを考えても、一回の充電で数百円程度しか取れないはずなので、企業の進出も望みにくい。代案として各駐車スペース全てに充電設備を設けるとしても、莫大な費用がかかる。
・災害で停電が数日続くと、多くの自動車が電気自動車だと電源確保の課題が出てくる。
・夏や冬にエアコンを動かすと、環境によっては移動可能距離が大きく下がるはず。
もちろん水素自動車も、水素ステーション設立にはガソリンスタンドより厳しい規制があるようですし、全国に十分なステーションを確保する費用は莫大です。
かつ水素の生成にはやはり大きな電気使用量が発生するので課題はありますが、水素補給等現在の自動車と使い勝手は変わらないため、一般には受け入れやすいのではないでしょうか。
一方で、現在好調のマツダを牽引する人見光夫氏は著書「答えは必ずある」の中で、
(p.37)いまのインフラも活用でき、移動体のエネルギーとして最もふさわしい液体燃料を、いかに環境負荷を低減しながら作るかというところに、なぜもっとお金をかけないのか不思議
と言及して、既存のエンジンを進化させれば発電時の二酸化炭素を考慮した電気自動車並みの燃費を実現できるはずとしている。
また、エンジンの進化だけではなく微細藻類由来バイオ燃料も産学連携で研究が進められています。
このようなバイオ燃料を安定生産する技術が確立されれば、既存のガソリンスタンドで化石燃料によらず、かつ既存のエンジンで動かせるような燃料も有力な候補となると思われます。
今から10年20年後、どんな社会になっているのでしょうか。
どの企業が、現在の混沌とした次世代自動車開発のイニシアチブを取り、勝ち抜いているのか。非常に観察対象としても面白い分野だと思っています。
橋本圭司
新年のご挨拶
新年のご挨拶を申し上げます。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。
そして皆さまの新しい年が、どうぞ幸多き良き一年となりますようお祈り申し上げます。
今年の干支は、お猿さんですね。
古今東西様々なモチーフとして親しまれてまいりましたが、日本では、日光東照宮の
『見ざる言わざる聞かざる』のお猿さんが有名ですね。
賢い処世術なのでしょうが、私は信条的に少々思うところがあります。
そこで、このお猿さん!
きんとん雲に乗り、耳に手をかざしています。
『人のお話しをよ~く聞くため』あるいは、『神経を集中して正しい情報収集をするため』でしょうか。
私もこのお猿さんのように、本年を過ごしたいと思っております。
ありがとうございます♪
(橋本由美)
子供たちの椅子
今はもう成人しました子供たちが、幼い頃に使っていた椅子です。
1年5ヶ月違いの男の子で、いつもコロコロと一緒に遊んでいましたし、たいていお揃いの洋服を着せていましたから、よく双子と間違われました。
そして、食事も二人並んで、この椅子で食べていました。(食卓は座卓でしたので)
今は、高さのあるダイニングテーブルを使っていますので、ふだんは使うことはできませんが、時折こうして眺めています。
あの頃の笑い声や泣き声、日常のあわただしさが甦ってきます。
当時は無我夢中で、今思えば、私は未熟な母親で、間違ったこともたくさんしてしまいましたが、それでも、いつも家族が一緒で幸せやったなぁ~と、しみじみ思い返しながら、時に涙とともに、この可愛らしい椅子たちを眺めているのです。
(橋本由美)
学ぶことと視点の多様化について
微分の問題で、ラグランジュ乗数法というのがあります。
空間の多様性と曖昧性について
小島寛之さんという経済学者・数学者の著書を愛読しています。
京都はカオス?京都駅と京都タワー
京都駅は、1997年に新しく建て直されまして、今年で18周年となります。
近未来的なデザインの建築は、古都・京都にはふさわしくないとの反対意見もありましたが、今ではもうすっかり京都の顔となっています。
かく言う私も、最初はどうしても好きになれませんでしたが、今ではこの正面のミラー壁に映る京都タワーの姿が大好きになりました。
その京都タワーも、1964年に建築されました当初は、ずいぶん物議をかもしたそうです。
当時は、高い建物もありませんでしたし、低く広がる瓦屋根を海に見立て、京の街を照らす灯台をイメージして設計されたのだそうです。
母なども、「最初は、なんて変なもの建てるんかと思うたわ。」と話します。そして今では、「よそから帰って来て、京都タワーの姿が見えると、あぁ帰って来たなぁと、ほっとするようになったわ。」と いつも言います。
ある調査によると、京都タワーは、京都を訪れる外国人観光客にとりまして、寺社仏閣以上の一番人気の記念写真スポットなのだそうです。
京都人は、保守的なようでいて、斬新なものをいち早く取り入れるという歴史があるようですね。
市電は、今はありませんが、1895年に日本最初の電気鉄道として開通しましたし、日本初の公立画学校は、1880年に設立されました。
その伝統の流れかどうか、2006年に、京都国際マンガミュージアムが開設されました時も、「こんなもん造ってもなぁ~」との声もありましたが、今や世界中のアニメ好きな若者のメッカとなっています。
面白いものですね。
昔、わが家にホームスティしていましたオーストラリアの人に、「京都はカオス」と、いつも言われまして、なかなかその意味がわかりませんでしたが、最近はようやく、「いい悪いではなく、確かにカオスやなぁ~」と、理解できるようになりました。
これからも、柔軟な感性を持って、この街を楽しんでいきたいものです。
(橋本由美)
『模倣』の意義
日経ビジネス人文庫より発刊されている『模倣の経営学』(井上竜彦著)を読んでおります。
井上氏の書籍は、『ブラックスワンの経営学 通説をくつがえした世界最優秀ケーススタディ』に続き2冊目になります。
さてこの『模倣の経営学』の主題は「トヨタもセブンイレブンもスターバックスも、優れた企業は「真似て、超える」ことで成功した」という内容を整理して発展させた内容です。
真似るという行為は、「猿真似」という言葉があるように、良い印象がありませんが大事なことです。
本著で初めて知ったのですが、世界の製造業に偉大な影響を与えているトヨタのジャスト・イン・タイムのシステム、生みの親の大野耐一氏はスーパーマーケットの仕組みを人づてに聞いたことから発展させたそうです。
真似るという行為は本当は素晴らしいです(ここでいう真似るとは陳腐なコピー商品や、版権・パテント等無視した盗作まがいのものではありません)。
「真似ぶ」は「学ぶ」と近い言葉だと以前聞いたことがあります。
アイザック・ニュートンは「私がかなたを見渡せたのだとしたら、それはひとえに巨人の肩の上に乗っていたからです。」という言葉を残しています。
『模倣の経営学』にもありますが、「守破離」という言葉もあります。
「守」とは師から教わった型を「守る」こと
「破」とは自分にあったより良い型を目指し、教わった型を「破る」こと
「離」とは自分自身が造り出した型の上に立脚した個人は、最終的には型からも自在に「離れ」進化すること
注目すべきなのはまず最初に「守」が来ることです。
ただ、「守」に入るためには、まず良い師を見つけないといけませんね。
では、そもそも良い「師」とは何でしょうか。そしてどうすれば見つかるのでしょうか。
これは、簡単な問いではなく私もまだ見つけていないので、今後進捗あればここに書こうと思います。
ただ、今言えることは「師」は探すと見つからない、今目の前にあることに真剣に取り組んでいく中で、ぼんやりと目の前に輪郭を持って現れる存在なのではないかということです。
簡単に言うと、「足元の地面を一生懸命掘り続けていたら、少しずつ地面の中から出て来た」といったところでしょうか。どこか探検して見つけに行くのではないです。
私は、幸いなことにこれまで超がつくほど一流の方ばかりを師という形で出会ってきました。
世界有数の海外の巨大企業でリーダー育成のエリートコースを切り抜けてきたような方から、アメリカに身一つで渡り一大事業を築き上げた方、独学でデータ解析から熱伝導・対流の制御に関する特許等を抑える等一人でやってしまうような方まで、普通に考えてどうしたら会えるのかわからないような方ばかりでした。
これらの方々、会いに行ったわけではなく、目の前の問題に真剣に取り組んでいるときに、突然思いがけぬ形で紹介があったり、就職した先のベンチャー企業の上司だったりという形でした。
出会いとは不思議なものです。私は、人との良縁は自分で探すのではなく、必死に手足をバタバタして浮き上がろうと努力している中で、いつの間にか指に引っかかっている糸のようなものと考えています。
『模倣の経営学』からだいぶ脱線してしまいましたが、この本を読んでいるうちにこのようなことを思いました。
井上氏の書籍、学術的な最新の情報等も盛り込んでいるため読み応え抜群で勉強になるのでお勧めです。
P.S.
『ブラックスワン』といえば映画がありましたね。私は、映画の内容を知らずに映画館に観に行き、この世の終わりぐらいに怖かったです。
人間心理を扱った映画の方が、単純なホラーより後味は最悪ですね(笑)。
社会性、芸術性は非常に高く素晴らしいのですが、個人的には苦手でした。
コアなファンはできそうな独特の映画でした。
橋本圭司
京都は風水都市~四神相応・青龍篇
京都は、794年桓武天皇の時代に「平安京」として造営されましたが、当時の国家プロジェクトとして「風水」による方位学によって選ばれた吉相の場所であったといわれています。
風水では「四神相応(ししんそうおう)」といって、東西南北にそれぞれ神を配置するのが基本で、それぞれ、青龍(東)、白虎(西)、朱雀(南)、玄武(北)と呼ばれる聖獣が司ります。
地形的には、青龍は大河(川)を、白虎は大きな道路を、朱雀は広い平野や湖、海などの視界の開かれた場所を、北は山や盛り上がった丘陵地帯を意味し、京都は これにちょうど当てはまる土地として、選ばれました。
東の流れは、「鴨川」です。
西は、五畿七道の山陽道と山陰道がありました。前者は、現在の兵庫県から山口県へ抜ける中国地方瀬戸内海側の街道であり、後者は北近畿から島根県へ続く日本海側のルートでした。
南(朱雀)には、かつて巨掠池(おぐらいけ)がありました。琵琶湖から流れ出る唯一の河川である宇治川が、京都盆地に流れ込む最も低いところに位置しており、広大な遊水池を形成しており、古代から中世は、水上交通の中継地として大きな役割を果たしていました。
北(玄武)は、船岡山や鞍馬山を指します。紫野(船岡山から大徳寺周辺一帯)に横たわる丘陵が船岡山で、平安京の中心軸「朱雀大路」の延長線上にあることから、平安京造営の基準点と考えられています。
鬼門封じのため、鞍馬から比叡山にかけては、貴船神社や延暦寺が建てられ、結界が結ばれました。
その延暦寺の三門跡のひとつとして、三千院、妙法院とともに建てられましたのが、青蓮院です。http://www.shorenin.com/
ここに祀られています青不動明王は、国宝にも指定されており、現在は、青蓮院・将軍塚青龍殿にお祀りされています。http://www.shorenin.com/shogun/
もともと、不動明王は、大日如来の化身であり、五色(青・黄・赤・白・黒)に配せられることもあり、赤不動、黄不動、目黒不動、目白不動などはその例ですが、 最上位に位置するものが青不動であるとされています。
ここからは私の勝手な推測ですが、青蓮院の位置は、清水寺や知恩院とともに青龍の守りとなっているのではと思います。
そのために、「青蓮院」という美しい命名がなされ、「青不動」が祀られているのではと考えます。
豊臣秀吉が寄進しましたこの一文字の手水鉢は、穏やかな日差しのもとにも、また冬の凍った姿も美しいものです。
この襖絵は、「生き物賛歌」と名付けられ、蓮の間に蜻蛉や蛙、亀たちが活き活きと見え隠れしています。
こちらは、「極楽の蓮」の間です。阿弥陀経の中にある、極楽には青、赤、白、黄の蓮が咲くという記述に基づいて描かれているそうです。
随所に清々しい青龍パワーを感じられる美しい寺院で、私のお気に入りスポットとなっています。
(橋本由美)