企業の視点での日本人論

モータージャーナリストの小沢さんとマツダの藤原常務という方のインタビュー記事が大変面白かったです。

会話の中で、日本人論のようなものもあり、以下のような内容でした。
僕が思う日本人のすごさは「すり合わせ」です。人と人がヒザをすり合わせて、顔を合わせて、こうしたいああしたいと議論ができるのは日本しかないんです。米国はトップダウン方式だし、ドイツは「私はコレ、次はコレ」と職人的にすべて決まっているんです。責任感ではないんです。
 逆になぜドイツ製品の出来がいいかというと、ドイツでは「ビッグサム」と呼ばれる人がいて、親指の意味なんですが、いわゆる職人、マイスターのことを指します。そのビッグサムが、最後の製造ラインでなんでも直すんです。メルセデスなどは特にそうで、ドイツのモノ作りはそれで成り立ってるんです。
 日本は開発や生産などのもっと前の段階で、人と人がすり合わせをして「こうしよう、ああしよう」と議論をしながら改善できる。これが日本の良さなんです。
日本とアメリカの違いは何となく予想がつきますが、ドイツは初めて知りました。
私の考えでは、このような「すり合わせ」文化の日本では、異質な考え・価値観の人間を「和を乱す者」として排斥する傾向が出がちなのではないか、「村八分」というのもそういう精神構造に起因するのではないかと考えています。
もちろん、西洋でも魔女狩り等ありましたが、そちらは宗教がらみで少し根本が違う気もします。
本来なら、きちんと研究しないといけないのですが、あくまで今日現在の仮説ということでお許しください。
藤原常務は、上記の会話の後、以下のように続けています。
日本人を単純に称賛するのではなく、かつ日本人としての特徴をうまく活かして活躍できる企業は作れると示唆する、大変前向きになれる内容でした。
そのときの目標の立て方どうのこうのじゃなくて、理想に向けてみんなで手を握って「こうしようね」とできる協調性にこそ、日本の強みがあるんです。目標が多少間違っていたとしても、それを日本人はみんなでなんとかしようとするんです。これがなくなると、たぶんダメなんです。
 それは自動車以外の家電でもスマートフォンでもみんなそうで、負けたところはすべてそこを無視したからです。実際、iPhoneは本来日本で造るべきだったと思いますよ。スティーブ・ジョブズもジョナサン・アイブスもミニマリストなんですよ。モノを削ぎ落とし、機能を削ぎ落として一番良い部分を残すのが得意で、それはもともと日本人が持っている日本的才能なんです。ジョブスは禅を大事にしていたでしょう? 結局、ジョブズがiPhoneのアイデアをソニーに持ってきたときに、それに食いつかなかったというのが問題です。食いついていれば今の状況はなかったと思います。
この記事、大変中身が濃く、他の会話の内容も興味深い内容でした。
元記事は下記URLになります。
http://trendy.nikkeibp.co.jp/article/column/20150518/1064522/
橋本圭司

 

『田舎のパン屋が見つけた 「腐る経済」』を読みました

渡邉 格さんという方の著書『田舎のパン屋が見つけた 「腐る経済」』
という本はとても素晴らしい本でした。
p22
「真っ当な”食”に正当な価格をつけて、それを求めている人にちゃんと届ける。それで世の中を少しでも真っ当な場所にしていこう」
との決意で、天然酵母のパン作りに励む著者が書かれた本です。
マルクスの「資本論」と酵母やパン作り、地域活性の話が非常に面白く組み合わされた特別な本だと思います
以下、私が印象に残り、かつ、この本の伝えたいメッセージの魅力がとても感じた箇所を一部抜粋します。
この内容を読んで、興味を持たれた方、面白い意見だと感じられた方、ぜひこの本を読んでみては如何でしょうか。
読めば本当に自分の価値観に何か変化があると思います。
韓国でもよく売れているとのことで、ドキュメンタリー作成の話もあるそうです。
p177
「利潤」ではなく、「循環」と「発酵」に焦点を当てた、「腐る経済」に挑んでいる。
p224
「人生はいっぱいの酒に如かず」。懸命に働いた後の美味しい食べ物と美味しい酒があれば、人は楽しく豊かに生きていけると思うのに、資本主義経済は、「腐らないおカネ」を増やすことに躍起になって、働くことと食べものをどんどん壊している。なんでこんなことになるのか?
 僕らは、自分たちが食べたいと思えるものを守りたくて、暮らしと仕事が一つになった人生を歩みたくて、パンという武器を取ったのだと思う。
p225
僕らの思いに共感してくれた人は、ぜひ、未来への一歩を踏み出してほしいと心から願う。できれば、田舎で僕らと同じ闘いに挑む人が増えてほしい。それに限らなくとも、自分の「内なる力」を高め、土や場をつくることに意識を向ける人が増えてほしい。
p226
場が整い、「菌」が育てば、食べ物は「発酵」へと向かう。それと同じで「小商い」や「職人」が育てば、経済も「発酵」へと向かう。
私たちは、自分たちの子どもの世代にどういった日本、地球を残したいか、一人ひとりがきちんと考えるべき問題だと強く感じます。
最後に、このパン屋のURL添付します。鳥取県に店舗を移動するそうで、現在はお休みしているそうですが、今後の活躍が楽しみです。
橋本圭司

企業における統計分析と実務について

近年、ビックデータ分析等といった言葉が流行り、街の書店でも関連書籍や雑誌の特集記事がよく見られるようになりました。
それでは、これは最近出てきたものなのかというと、そういうものばかりではありません。
確かに、専門書ではサポートベクターマシン、ランダムフォレスト等といった、私が医学部にいたときでも聞いたことがなかったような難しい言葉の分析手法がよく紹介されています(しかも一般社会人を対象にしたビジネス用書籍にです!)。
こういった分析が盛んに取り上げられるようになったのは、過去と違いPOSデータやログデータといったものが全てコンピュータで大量に蓄積できるようになったこと、コンピュータの演算能力の著しい向上等の寄与が強いと思われます
これらの成果は、迷惑メールのふるい分けや、インターネットショッピングでの「あなたにオススメの商品」「これを購入した人はこれも購入しています」等といった機能に見られます。
このような分析手法が、統計の専門家ばかりが読むわけではないビジネス書籍に紹介されているわけですが、こういった書籍では理論的な説明等少し不足しているものが多い気がします。
分析手法の選択や結果のビジネスの場への適用は、企業の目指す目標や集計されたデータの性質といったものを総合的に鑑みて、段階的に進めるべきだと考えます。
例えば、会議で
「アソシエーション分析で信頼度と支持度を云々した結果、来週以降は商品の配置を変えたほうが良いと考えます」
と言われて、心から納得して
「ぜひやりましょう!」
とはならないのではないでしょうか。ほとんどの方が、狐につままれたような気持ちで釈然としないまま終わってしまうことが多いかと思います。
その結果は、分析した内容の中途半端な日常業務への落とし込みと非効果的な結果につながりかねません。
これと似たようなことは、私自身苦い経験としてあります。
そこから得た教訓として
「裏でどれだけ難しい分析をしても、表ではグラフや簡単な分析結果を通して示す。」
というものです。
そして、
「たくさんデータがあっても、その構造を見やすくして、現場の方と一緒に意味を解釈する。」
となります。
まずは、偏見なく腰を据えてデータの持つ意味に向き合うべきです。
これまで述べたような分析手法は、向き合った結果本当に必要な場合のみ検討すべきものです。
複雑なデータを紐解いて、営業の方にも、事務の方にも、企業で働くすべての方々が理解しやすい形で新しい見方、隠されたデータのパターンを示す。
そして、本当に納得していただいた上で、その結果を日々の実務に落とし込む。
これが様々な能力や背景を持つ人々の集まりである企業における統計分析で最も大事なことだと考えます。
加えて、このようなアプローチはアウトプットだけを見れば簡単な分析に見えますが、実は最も難しいことなのだと思います。
ですので、私自身これからも日々継続して研鑚する必要がありますし、今日より明日、明日より明後日と日々進化していく所存です。
今後とも、よろしくお願いいたします。
橋本圭司