本日、ホンダが水素を使用する新型燃料電池自動車「ClARITY FUEL CELL」を発表しました。
トヨタの「MIRAI」に続いて国内で販売される水素自動車です。
私が本拠としている京都にも、水素ステーションができたりと、少しずつ次世代の自動車が実現化しつつあります。
ガソリン等で動く自動車から、水素自動車なのか、または電気自動車か、もしくは両種類の自動車が共存するのか。
今後どのような方向に進んでいくのか。自動車業界は、この10年で大きな勢力図の塗替えが起こる可能性が高そうです。
電気自動車は国内外多くの企業が既に販売を開始しており、かつ新進気鋭の起業家イーロン・マスク率いるテスラモーター等電気自動車のみを将来性あるものだとして取り組んでいる企業もあります。
ただ、私個人は電気自動車は主流にはならず、どこかで頭打ちになるのではないかと考えています。
なぜかというと、もちろん日本の企業が牽引する水素自動車に頑張ってもらいたいという希望もありますが、大きな理由は以下のとおりです。
・国内外の車の多くが電気自動車になった場合、現在の発電量では賄えないのではないか。
・現行の充電方式だとフル充電するまで30分以上はかかる。ガソリンを5分で満タンにするのと比較すると利便性が悪い。
電気ステーションを考えても、一回の充電で数百円程度しか取れないはずなので、企業の進出も望みにくい。代案として各駐車スペース全てに充電設備を設けるとしても、莫大な費用がかかる。
・災害で停電が数日続くと、多くの自動車が電気自動車だと電源確保の課題が出てくる。
・夏や冬にエアコンを動かすと、環境によっては移動可能距離が大きく下がるはず。
もちろん水素自動車も、水素ステーション設立にはガソリンスタンドより厳しい規制があるようですし、全国に十分なステーションを確保する費用は莫大です。
かつ水素の生成にはやはり大きな電気使用量が発生するので課題はありますが、水素補給等現在の自動車と使い勝手は変わらないため、一般には受け入れやすいのではないでしょうか。
一方で、現在好調のマツダを牽引する人見光夫氏は著書「答えは必ずある」の中で、
(p.37)いまのインフラも活用でき、移動体のエネルギーとして最もふさわしい液体燃料を、いかに環境負荷を低減しながら作るかというところに、なぜもっとお金をかけないのか不思議
と言及して、既存のエンジンを進化させれば発電時の二酸化炭素を考慮した電気自動車並みの燃費を実現できるはずとしている。
また、エンジンの進化だけではなく微細藻類由来バイオ燃料も産学連携で研究が進められています。
このようなバイオ燃料を安定生産する技術が確立されれば、既存のガソリンスタンドで化石燃料によらず、かつ既存のエンジンで動かせるような燃料も有力な候補となると思われます。
今から10年20年後、どんな社会になっているのでしょうか。
どの企業が、現在の混沌とした次世代自動車開発のイニシアチブを取り、勝ち抜いているのか。非常に観察対象としても面白い分野だと思っています。
橋本圭司