母の御殿雛
京都では、旧暦の 4月3日に お雛様のお祝いをされますご家庭も多いようです。
私の実家では、「せっかく手間暇かけて、お雛様を飾るのやし・・・」と、2月半ばから 4月3日まで、しっかり1ヶ月半ほど 飾ってあります。
このお雛様は、昭和15年に 母が、祖父(私からみましたら、曾祖父)から贈られましたものだそうです。 お雛様の出し入れや お手入れをお願いしています 人形店のかたのお話しでは、このように お内裏様の座席に 屋根がついています 「御殿雛」と呼ばれますタイプのものは、昭和16年頃以降は 製作されていませんので、現存していますものは 少ないのではないかということです。
とはいえ、これを毎年飾るようになりましたのは、10年ほど前、母の 愛媛県松山市の実家に 住む人が誰もいなくなりまして、荷物をひきとらなければなりませんでしたのと、母自身に 心身ともに お雛様を飾る余裕ができました時期が 丁度 合ったのだと思います。
じつは、私自身は ちゃんとしたお雛様を 持っていません。
私が幼い頃は、両親とも 昼も夜もなく 仕事一筋に生きていましたので、家庭で 季節の行事や お誕生日会など ほとんどしました記憶がありません。
ですので、クラスメートのお誕生日会に招かれ、お母様手作りの ケーキやお料理をいただきます時には、子供心に とても羨ましく思いましたものです。
今では もちろん、その当時の 両親の立場や気持ちも よく理解できますし、それはそれで 私の成長にも役だちましたことですし、むしろ そうして懸命に働いている姿を見せてもらい 感謝しているのですが、母の方が 負い目に感じていますようで、毎年 お雛様の季節が近づきますと、
「あなたに女の子が生まれたら、うんと立派なお雛様を 贈ってあげるからね。」と 言い続けていました。
ですが、男の子ばかりでしたので、最近では、
「あの御殿雛は、あなたが受け継いで 持って行ってちょうだい。」と 言っています。
・・・と 言われましても、我が家には このような大きなお雛様を 飾るスペースがありませんので、結局 毎年 実家に見に行きますことになっています。
雛人形だけではなく、おそらく 早くに亡くなりました 母の兄のものと思われます 兵隊さんのお人形や
母が 幼い頃に 遊んでいましたのではないかと思われます 小さな細々したおもちゃなども一緒に飾ってありまして、時代が 感じられます。
この御殿雛は、私や 息子達を飛び越えまして、孫(母からみましたら 曾孫)に 受け継いでもらいたいと思います。可愛い 女の子の孫を、今から楽しみにしています(^_^)。


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