京都は風水都市~四神相応・青龍篇

青蓮院

京都は、794年桓武天皇の時代に「平安京」として造営されましたが、当時の国家プロジェクトとして「風水」による方位学によって選ばれた吉相の場所であったといわれています。

風水では「四神相応(ししんそうおう)」といって、東西南北にそれぞれ神を配置するのが基本で、それぞれ、青龍(東)、白虎(西)、朱雀(南)、玄武(北)と呼ばれる聖獣が司ります。

地形的には、青龍は大河(川)を、白虎は大きな道路を、朱雀は広い平野や湖、海などの視界の開かれた場所を、北は山や盛り上がった丘陵地帯を意味し、京都は これにちょうど当てはまる土地として、選ばれました。

東の流れは、「鴨川」です。

西は、五畿七道の山陽道と山陰道がありました。前者は、現在の兵庫県から山口県へ抜ける中国地方瀬戸内海側の街道であり、後者は北近畿から島根県へ続く日本海側のルートでした。

南(朱雀)には、かつて巨掠池(おぐらいけ)がありました。琵琶湖から流れ出る唯一の河川である宇治川が、京都盆地に流れ込む最も低いところに位置しており、広大な遊水池を形成しており、古代から中世は、水上交通の中継地として大きな役割を果たしていました。

北(玄武)は、船岡山や鞍馬山を指します。紫野(船岡山から大徳寺周辺一帯)に横たわる丘陵が船岡山で、平安京の中心軸「朱雀大路」の延長線上にあることから、平安京造営の基準点と考えられています。

鬼門封じのため、鞍馬から比叡山にかけては、貴船神社や延暦寺が建てられ、結界が結ばれました。

その延暦寺の三門跡のひとつとして、三千院、妙法院とともに建てられましたのが、青蓮院です。http://www.shorenin.com/

青連院

ここに祀られています青不動明王は、国宝にも指定されており、現在は、青蓮院・将軍塚青龍殿にお祀りされています。http://www.shorenin.com/shogun/

もともと、不動明王は、大日如来の化身であり、五色(青・黄・赤・白・黒)に配せられることもあり、赤不動、黄不動、目黒不動、目白不動などはその例ですが、 最上位に位置するものが青不動であるとされています。

ここからは私の勝手な推測ですが、青蓮院の位置は、清水寺や知恩院とともに青龍の守りとなっているのではと思います。
そのために、「青蓮院」という美しい命名がなされ、「青不動」が祀られているのではと考えます。

豊臣秀吉が寄進しましたこの一文字の手水鉢は、穏やかな日差しのもとにも、また冬の凍った姿も美しいものです。

青蓮院手水鉢

この襖絵は、「生き物賛歌」と名付けられ、蓮の間に蜻蛉や蛙、亀たちが活き活きと見え隠れしています。

ふすま絵1

こちらは、「極楽の蓮」の間です。阿弥陀経の中にある、極楽には青、赤、白、黄の蓮が咲くという記述に基づいて描かれているそうです。

ふすま絵2

随所に清々しい青龍パワーを感じられる美しい寺院で、私のお気に入りスポットとなっています。

(橋本由美)

セイバーメトリクス

セイバーメトリクスという野球の統計分析に当たるようなものがあります。

(Society for American Baseball Research)とメトリクス(指標)を組み合わせた言葉です。

 これを当時資金不足で弱小チームであったオーランド・アスレチックスに取り入れて常勝軍団にまで育てたビリー・ビーンという方が有名です。
 ブラッド・ピット主演の映画『マネー ボール』でご存知の方も多いかと思います。
 私も、映画はもちろん書籍も読みました。
 今でもそうですが、野球選手を打率やホームラン数、盗塁数等で評価することが一般的だと思います。
 ビリー・ビーンはそうではなくて出塁率を重視しました(他にも相手の投球数をどれだけ稼げるか等いろいろあります)。ヒットでも四球でも何でもいいのです。
この視点で見ると、打率が高くなくても、選球眼が良く四球等で出塁率が高い無名の選手が、突然隠れた優秀な選手として浮かび上がるのです
 投手なら勝数ではなく、例えばクオリティ・スタートという先発投手が6回まで自責点3点以内に抑えたときに記録されるもの等があります。
 このビリー・ビーンの取り組みは、当初は他球団から見向きもされないどころか、球団内のスカウト担当の陣営からも反発がありました。
 しかし、結果はアスレチックスの成功を受け、多くの球団が取り入れだしたため、より複雑な指標も開発されているような状況にまでなっています。
 ここで強調したいのは、この例はデータによる指標がベテランや現場を熟知する人々の経験を上回るということではありません。
 なぜなら、指標の結果を受けて行動を起こすのが、その経験を豊富に持つ現場だったりするので、「データでこうだから」という押しつけでは、一丸となった行動は不可能です(ビリー・ビーンはかなり激しくやりあったようですが、個人的にはこれは結果オーライの話で、特に日本では難しいと感じます)。
 ただ、データ等の分析から今までになかった新しい次元を加えて物事を考えた成功事例として非常に面白い話だと思います。
以下に『マネー・ボール』の映像(予告編)を参考に載せました。

 

橋本圭司

プライミング効果について

ある刺激を受けたとき、その影響でそれ以後の考え方や感じ方が変わることを『プライミング効果(呼び水効果)』と呼びます。

例えば、トロント大学の実験で
被験者にかつて自分が犯したと感じることや行為を思い出してもらう
次に、半数の被験者に手を洗ってもらう
その後に困っている大学院生のために、無償で実験に参加するかどうか質問

という実験の結果、手を洗わなかったグループは74%、洗ったグループは41%参加すると答えました。
手を洗ったグループは協力する気が少なかったのですね。
この結果を受けて、手を洗い流すという行為により罪悪感も洗い流したと無意識に感じているのではないかと考察されています。

更に、他の実験でも
バラバラになった文字を文章に復元するという実験で、「老い」を連想させる言葉を多く含む文章を復元したグループの方が、そうでないグループよりも、廊下からエレベータまでの歩く速度が遅くなった、というものもあります。

これらのことは、無意識がいかに周囲の環境や行動に影響を受けているかをよく示していると同時に、人々の行動や文化についても面白い視点を得られます。

例えば、先ほどの水と罪悪感の繋がりの例、日本の神道の禊や神社の手水舎、キリスト教なら洗礼式等での聖水もこれにあたるのでしょうか。
イチロー選手が毎打席必ず行うモーション等、一流スポーツ選手が必ず行う仕草もプライミング効果で説明できるように思います。
勝負に臨む前に決まった動作、行動を行うことを取り入れることが、結果として日々のメンタルを整え、好不調に振り回されないようにできる体制を整えているのではないかと考えています。

私たちが日常で取り入れるなら、毎朝少し瞑想するとか散歩するというのがあります。
そうでなくとも、より簡単に、どんな場合緊張を強いられる場合も含めて)でも、>必ず人と会う前にコーヒーを一杯飲んで一息つくというのもありかもしれません。

ただ、プライミング効果というのは無意識でするからこそ効果があるのであるため、なかなか意識してしまうと効果は薄いそうです。
単純に何か直前に迫った問題を解決するために始めるのではなく、気軽に気分転換のつもりで日常に取り入れられる些細なことから始めたらいいと思います。

(橋本圭司)

色の効用

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「色」は、電磁波と呼ばれる光のエネルギーの一種です。

このエネルギーの波動が、人体や精神にも影響を及ぼしています。

太陽光線をプリズムで分光させると虹の7色が見えますが、カラーセラピーでは、人間は「虹の存在」と考えられています。

また、インドの伝承医療「アーユルヴェーダ」では、人体には虹の7色の「チャクラ」と称されるエネルギーステーションがあるとされています。

色彩心理学においては、色への欲求は、心理的バランスを保つための人間の本能だとも言われています。

よく使われる例ですが、医学的にも、赤い部屋にしばらくいると交感神経優位となり血圧・心拍数が上昇し、青い部屋にしばらくいると副交感神経優位となり、血圧・心拍数ともに下降します。

目隠しをした状態でこの実験を行っても同様の結果が得られることから、やはり色は、視覚のみで感知しているのではなく、波動エネルギーにより作用していると考えられます。

また、「色が教えてくれること」の中で、著者の七江亜紀さんは、
「そして色は、人の情動も揺り動かすのです。(中略)それらを上手に利用すれば、心は意外と簡単にコントロールできる、ということです。」と述べていらっしゃいます。 

テンションが落ちてきた時には赤いものが食べたくなるように、心と体が赤い色を欲し、疲れてホッコリしたい時にはビタミンを補う緑茶やフルーツがとりたくなるように、緑やオレンジを欲するなど、自分の心に耳を澄ませながら、体調に合わせて色をうまく使うことは、じつはとても大切なことなのでしょう。

(橋本由美)

高田崇史さんの『鬼神伝 鬼の巻』を読みました

講談社文庫より出版された高田崇史さんの『鬼神伝 鬼の巻』を読みました。

内容はネタバレにならない程度に書くと、主人公の少年がある日平安時代、「鬼」と貴族たち「人」が激しく争う世界に飛ばされるもので、非常にファンタジー色が強いものです。

なぜ、突然このようなファンタジー小説をここで紹介しているのかと思われたかもしれません。
著者の高田さんはこれまでQEDシリーズ等サスペンスものを含め、鬼や河童等、古事記や地域の伝承等に登場する神々をテーマに巧妙にストーリーを組み立てられています。
単なる小説ではなく、読んでみて歴史の見方が変わる新たな視点を提供してくれるような、非常に興味深い考察や研究結果を披露され、大変面白くいつも読ませていただいています。
この小説は、それら考察の導入部もしくは、まとめのような内容で読みやすく感じました。

高田さんのこれまでの様々な小説で一貫して発信しているメッセージは、「鬼」というのは、朝廷に従わなかった本来日本に古来より住んでいた人々だということです。
坂上田村麻呂に敗れた阿弖流為(アテルイ)もそうですね。
こちらは、高橋克彦さんが書かれた『炎立つ』でご存知の方も多いかと思うお話です。

鬼神伝に印象に残るメッセージがありましたので、最後にここだけ整理して紹介させてください。

どうして節分には鬼に豆をぶつけるのか?
どうして河童はキュウリばかりを食べているのか?
どうしてテルテル坊主は軒先に吊るされているのか?
どうして雛祭りで人形を飾るのか?
どうして天邪鬼やおとろしの指は三本しかないのか?

きちんと調べればわかることなのに、私たちの時代の人たちは、誰も真剣に調べようとしていない。
だからこそ、自分で調べてほしい。
答えが分かったら、たった一人きりでもいいから声をあげてくれ。

まとめるこんな内容のメッセージです。
これまで、高田さんの本を読み続けてきて、このメッセージが一番ずしりと来ました。

以上私の書いたことで、興味を持ってくださった方がおられれば、ぜひ高田さんの著書一読ください。

まず、鬼神伝、それでこの節分の話等の高田さんの考察を知りたければQEDシリーズ等を読んでいただきたい。
歴史の見方に、新しい次元が加わることは確かです。

『鬼神伝 神の巻』という続編があるのですが、>講談社文庫で出版されるのを楽しみにしています。
ちなみに、この『鬼神伝』、アニメ映画が公開されていたのですね。知りませんでした。
なんと、声優陣が豪華でびっくりです(笑)
観たいです!(予告編URL貼りました)。
href=”https://www.youtube.com/watch?v=4mWHquRHACM” target=”_blank”>https://www.youtube.com/watch?v=4mWHquRHACM

(橋本圭司)